第5回 サイエンス・スタディーズ研究会
山口富子さんを迎えて.
- 作者: 山口富子,日比野愛子,大庭良介,永野智己
- 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
- 発売日: 2009/11/19
- メディア: 単行本
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博論はインドにおけるGMO論争の分析,現在は日本のGMOにおける論争分析.ごく最近は,機能性食品の分析(雑誌媒体を中心に)も始められたそう.
科学的データが論争を沈静化しない状況下において,(1)何を根拠に物事が判断されてきたのか? (2)判断を導く,社会秩序の状態はどのようなものだったのか?
この山口さんの問題関心は自分の問題関心と非常に近い.
発表は,Yamaguchi and Suda (forthcoming) の内容紹介が主だった.
Yamaguchi, T. and F. Suda. Changing social order and the quest for justification: GMO controversies in Japan. Science, Technology & Human Values (forthcoming).
以下,得られた情報,雑感,考えたことなどなど.
GMOの基礎的データについては,ISAAA(国際アグリバイオ事業団)が役立ちそう.
GMOについては第1世代,第2世代という言い方がある.
第1世代 | 害虫耐性・除草剤耐性など,どちらかといえば生産者にコスト削減のメリットがあるもの.もちろん,生産のコスト削減は消費者にもメリットはある. |
第2世代 | 栄養価が高い・特定の機能を付加するなど,どちらかといえば消費者メリットが意識されるもの(2010年3月現在,商業化には至っていない). |
日本の監督機関は,農林水産省・厚生労働省・食品安全委員会.一方,米国は農務省・FDA.
GMO反対運動のピークは1998〜2000年頃か?
- 作者: J.I.キッセ,M.B.スペクター,村上直之
- 出版社/メーカー: マルジュ社
- 発売日: 1990/04
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- 作者: Malcolm Spector,John I. Kitsuse
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 2000/09/07
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On Justification: Economies of Worth (Princeton Studies in Cultural Sociology)
- 作者: Luc Boltanski,Laurent Thevenot,Catherine Porter
- 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr
- 発売日: 2006/03/27
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クレイム申し立て活動は,自分の立場・スタンスを保留しつつも,可能な正当化根拠はこのようなものであろうというようにまとめていくことも出てくるだろう.
韓国は優良誤認について罰則がついている.「大豆(遺伝子組換えでない)」という表示を行ってはいけない.行うと罰則がつく.之が優良誤認とされるかどうかはまぁ微妙なところだと思う.事実ではあるが,(他の何かではなくあえてそれをとりあげて)それに言及するということは何らかの意味があるし,特定の効果を相手に(例えば消費者に)与える.
研究を行うにあたって,「網掛け」をどう行うか? 誰を見るのか,何を見るのか,誰の意見が社会の意見なのか? 「網」の性質によって,その「網」にかかる「獲物」(答え・結果)もだいぶ左右されるのではないだろうか?