田中丹史.2010.「バイオエシックスは応用法(学)か:『バイオエシックス百科事典』の分析」,小松美彦・香川知晶編著『メタバイオエシックスの構築へ:生命倫理を問い直す』所収,81–108.NTT出版.
- 作者: 小松美彦,香川知晶
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: 単行本
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問題.専門家の間では,バイオエシックスとは「医療全般に関する学際領域」として把握されているが,本当にそうなのだろうか? このように把握されていることで,実際のバイオエシックスが持つ,特定の問題群への関心の偏在であるとか,あるいは,本当に学際領域と呼べるのかということが検討されていないのではないだろうか.こうしたことを検討する必要がある.
手法.これまでに3版が出版されている『バイオエシックス百科事典』で扱われている項目を「考察対象(what)」と「対応方法(how to)」という2つの観点から分析する.その際,「『事典』の変遷はバイオエシックスの変遷を反映している」,「執筆項目が多さは,当該項目の重要さを反映している」という2つの前提をおく.
結論.「バイオエシックスは,保健医療制度に関わる応用宗教(学)や応用法(学)であると言うことができる」.